東京高等裁判所 昭和61年(ネ)1723号 判決 1986年9月29日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
控訴人らは、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人ら各自に対し、八一二万二二〇八円及び右各金員に対する昭和五五年四月二二日から各支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述及び証拠関係は、次につけ加えるほか、原判事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
原判決書二枚目表七行目中「加害車」を「加害車の種類・車両番号、運転者」に改め、同一二行目中「加害車」の下に「の運転者」を加え、同三枚目表一一行目中「政府」を削り、同裏九行目中「有する」の下に「ところ、右金額は保障事業による保障金の前記限度額を超えるので、控訴人ら各自の保障金請求権の額は一〇〇〇万円となる。」を加え、同六枚目表八行目中「政府保障事業」から同七枚目表二行目中「である。」まで、同裏一〇行目から同一一行目にかけて「政府の自動車損害賠償」を削り、同一〇枚目表四行目、同七行目中「擬制相続分」の下に「。円未満四捨五入。」を加える。
理由
当裁判所は、控訴人らの請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、次につけ加えるほか、原判決理由説示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
原判決書二七枚目裏一五行目中「そして」から同二八枚目表一〇行目中「ことができる」までを「したがって、保障事業に対する保障金請求権は損害賠償請求権の存在を前提とするものであり、同法七二条一項にいう被害者とは、私法上の損害賠償請求権者と一致し、右権利者がその債権額に応じて保障金請求権を取得する」に改め、同二九枚目表三行目中「あるから、」の下に「同女は加害車の保有者に対し右扶養請求権(婚姻費用分担請求権ないし協力扶助請求権)の侵害による損害賠償請求権を有しているものというべきであり、そして、」を、同五行目中「は、」の下に「少なくとも、」を、同行中「扶養利益の額」の下に「に相当するものとして現実に支払われた金額」を、同六行目中「解すべきである。」の下に「なぜならば、逸失利益の算定に当たっては、自動車事故による死者がなおその就労可能年数生存しているものと仮定するものであるから、死者はその間右扶養権利者を現に扶養したものと仮定せざるを得ず、したがって死者の得べかりし純収益からまず扶養権利者の扶養に充てられ、その残余が相続の対象になりうるにすぎないからである。」を、同一一行目中「年齢」の下に「(後記のとおり、亡豊吉死亡当時五八歳)」を加え、同一四行目中「あることとなり」から同裏四行目中「少額であって」までを「あることになるところ、成立に争いのない乙二号証及び弁論の全趣旨によると、被控訴人は、荒井はなに対し、その扶養請求権相当額として七〇〇万円を支払ったことが認められ」に、同三〇枚目表二行目中「乙三号証」を「乙三号証の一、二」に改め、同九行目中「はなは、」の下に「大正一〇年五月一日生まれであり、」を、同一五行目中「世間的にも」の下に「夫婦として処遇され、」を加え、同裏四行目中「本件事故の」を「本件事故に基づく」に、同六行目中「その間」から同七行目中「関係にあり」までを「時たま亡豊吉のもとを訪ねることもあったものの」に、同一四行目から同一五行目にかけて「考慮すると」を「考慮しても、到底亡豊吉の死亡により控訴人らが甚大な精神的苦痛を受けたものとは認められず」に改め、同三一枚目裏九行目中「二〇二万〇〇七四円」の下に「。円未満切捨て。」を加える。
したがって、控訴人らの本件請求を棄却した原判決は相当であって、これが取消しを求める本件控訴は理由がない。
よって、本件控訴を棄却し、控訴費用は敗訴の当事者である控訴人らに負担させることとして、主文のとおり判決する。